【ネタバレ】「神様の恋愛相談請け負います」付記 尼野ゆたかと協力者の取材日誌 その3 ~鎌倉編~



 江の島の岩本楼で一泊した次の日、鎌倉に向かいました。



最東対地さんが鎌倉が登場する小説を書いていて、その取材が目的です。

ここからは作家の額賀澪さんと出版取次(本の問屋さんです)にお勤めのクッキーモンスターさんが同道してくださいました。


1.ビーチサンダルの墓標






鎌倉の街。僕としてはただついて行っただけだったのですが、意外や意外大変得るものがありました。

同じものを見るにしても、一人で眺めるのと色々な人と喋りながらでは随分と違います。

各々感想が異なっていて、自分とはまったく異なる視点に触れることで新しいなにかが生まれるのですねー。これは最東さんも言ってました。




鎌倉の街をしばらく行き、由比ヶ浜に到着。

自分としては深く考えずについてきたのですが、想像もしない収穫を得ました。







この光景が、マーメイドの話の方向性を確定させてくれたのです。

既に話の筋書きはある程度固まっていたのですが、ああなるほどこの雰囲気か……みたいな感じで。

これも自分一人ではたどり着けなかった部分です。ありがたいことです。



ちなみにビーチサンダルの墓標も、実際にあったものです。(サモエドもそうですが写真を撮り損ねた)





こちらは額賀さんが撮影したもので、




こちらがクッキーモンスターさんが撮られたもので、





尼野ゆたか撮影はこれで、





こちらは最東さんが撮影したもの。




それぞれ同じものを同じタイミングで撮ったとは思えませんよね。特に最東さんのやつの不穏さ。額賀さんのものとのあまりのコントラストを見た作家の織守きょうやさんが、「撮った人の心が表れているのだろうか」的なことを仰ってて笑ってしまいました。

まあ人のことは言えませんが……僕のも大概です。わざとじゃなくて本当にこれしかありませんでした。空虚な心が表現されているのでしょうか。








浜辺に落書きする最東さん。これはみのるという最東さんオリジナルのキャラクターです。色紙やサインによく出てくるので要チェックです。






今回のみのるはあっという間に海に還りました。







由比ヶ浜の近くにあるお店のハンバーガー。見るからに美味しそうですよね。実際美味しかったです。クッキーモンスターさんが大はしゃぎでした。




2.われてくだけてさけてちるかも

その後、前日に続いて来て下さった和泉桂さんと合流し、鶴岡八幡宮へ。



最東さんはそこまで行く気もなかったのですが、和泉さんや額賀さんが「ここまで来て行かないというのはないでしょう」と仰り向かうことになったのでした。

僕は相変わらずついて行くだけでしたが、やはり得るものがあったのです。






鶴岡八幡宮の石段。鎌倉幕府の三代将軍である源実朝が暗殺されたことで知られるところです。

ちなみに、陽輔の心を砕いた御神籤の和歌には実朝の歌を引用していたりします。本歌取りですね!(違う



暗殺犯は実朝の甥である公暁なのですが、彼は石段そばの大銀杏の陰に隠れていたと伝わります。





その大銀杏は2010年に倒れてしまい、場所を移したりひこばえを育てたりと頑張っているそうです。

鶴岡八幡宮といえば、和泉さんの小説「キッチンカー鎌倉、推して参る 再出発のバインミー」にも登場します。鎌倉を舞台にした、とても温かな小説です。

このブログを書いた後再読したのですが、本当に鎌倉をしっかり描写されていて、作者の方に案内してもらえたというのはとても贅沢な経験だったのだなと改めて感じたのでした。





ところで上の写真のこの扁額(表札みたいなもの)ですが、八幡宮の八がよく見ると鳩になっています。

これは祀られている八幡神の神使が鳩だからなのですね。和泉さんに教えて頂いて気づきました。







狛犬がしているマスクにも鳩が。なんだか愛嬌ありますね。

ヒントを得て、本編でも巨大不明生物が蒲田に上陸した辺りでちらりと鳩が登場しています。あの辺りにも八幡宮が沢山ありますからね。




鳩の他にも、もう一つ大きな思いつきを持って帰ることができました。

鶴岡八幡宮には宝物殿がありまして、拝観料を払って中を見ることができます。折角来たんだから行ってこいよと最東さんに言われて、一人で行って参りました。(撮影不可なので写真はありません。ご容赦)


中には色々と興味深いものがあったのですが、強い印象を残したのが八幡神を描いた掛け軸でした。

僧形の八幡神、要するに八幡神が坊さんの姿をした絵だったのですが、もう本当にこれ坊さんやんとしか言いようがないくらい坊さんだったのです。


その時はこれ坊さんやん以上の感想がなかったのですが、資料として読んでいた「装束解剖図鑑」で「春日権現記絵巻では、小直衣を着用した神の姿が描かれている」という文章を見つけ、きゅぴーんとなりました。

そして、服装についてぶーたれるアマテラスの原型が生まれたのです。連想がばっと飛躍して、思いも寄らないところに着地できました。

閃きの箱には色々入れてみるものだなあと思った次第です。


装束解剖図鑑はこちら。面白いですよ~。




というわけで、江の島~鎌倉編はここまで。

協力してくださった方々、本当にありがとうございました!



次回は、伊勢の取材を書こうかと思います。本編には出てこない「あそこ」にも行って参りましたよ。