「運び屋 一之瀬英二の事件簿」は、「一貫してばらばらのテーマやジャンルの小説を書く」水沢秋生さんの一作。依頼を受けて訳ありのものを運ぶ「運び屋」を主人公とした物語です。
たとえばデジタル大辞泉ではこうありますが、違うそうではない。手元の広辞苑(第七版)に至っては載ってない。
Guns N' Rosesやと14 Yearsくらいの感じ。この曲レイドバックいうほどのたのたしてないやんという向きもありましょうが、でもこのくらいの感じを踏まえてそう呼びたいのよ。冒頭のためたドラムとけだるげなアクセルローズの歌と、あと間奏におけるディジーリードのピアノね。あれ。あの感じ。分かれ。
割と前ですが再読したので感想を書こう書こうと思っていたのですが、自分のことで疾風怒濤だったため中々書けておりませんでした。
僕としてはレイドバックという言葉を使いたいんですが、これ結構説明しづらい概念だからな……
たとえばデジタル大辞泉ではこうありますが、違うそうではない。手元の広辞苑(第七版)に至っては載ってない。
Guns N' Rosesやと14 Yearsくらいの感じ。この曲レイドバックいうほどのたのたしてないやんという向きもありましょうが、でもこのくらいの感じを踏まえてそう呼びたいのよ。冒頭のためたドラムとけだるげなアクセルローズの歌と、あと間奏におけるディジーリードのピアノね。あれ。あの感じ。分かれ。
のっけから話がそれましたが、描かれてる物語は本来ちっとものんびりしていないはずのものです。色々爆発して吹っ飛びますし、スピード狂のお姉さんが登場して盗難車をぶっ飛ばしますし、なんなら主人公がロケットランチャーをぶっ放します。それこそ疾風怒涛なはず。
しかしいつも肩の力が抜けている。ハリウッドさながらのシーンが力まずに描かれている。無理に血湧き肉躍らせようとしてこないのですね。
かといってやる気をなくして脱力しているということもない。ニヒリスティックにすべてを投げ出すこともしない。この物語は虚無や絶望を描いてはいません。
運び屋と依頼人の人生が重なる度に、寂しいようなやるせないようなそんな音が響き、読む者の心にじんわりとした何かを残していくのです。
アドレナリン以外に作用するアクションシーン。あるようで中々ないのでは。
自分の歩んできた道に疑問めいたものが浮かんでふと立ち止まり、しかし中々抜けるわけにもいかず、なんだかんだやめるわけにもいかず。
普通ではない世界に生きる人間を描く物語では定番なシーンも、何とも言えず印象深く描かれております。
そこには水沢さんがたまにみせる苦笑が重なるからかもしれない。
櫻いいよさんがこの作品お好きで、以前「会う度に続き書いてって言ってます」と仰っていました。分かる。分かるな~。